現代の住宅は技術の進化により、快適で利便性の高いものが増えていますが、昔の家づくりには自然と共存しながら快適に住むための「知恵」が詰まっています。特に日本の伝統的な住宅には、気候や風土に適した設計が多く、その中には現代の住まいにも応用できる工夫が数多く見られます。

その一つは古き良き特徴のひとつである「軒の出」です。屋根が外壁から大きく張り出す軒の出は、強い日差しや雨風から家を守りつつ、自然の風を効果的に取り入れる役割を果たしてきました。特に夏の強い日差しを遮り、室内の温度を快適に保つことで、なるべくエアコンに頼らずに過ごせるようになっています。また、雨が直接窓や壁に当たらないようにすることで、建物の劣化を防ぎます。このように軒の出は、自然環境に対して柔軟に対応し、長期的に住宅を守るという知恵が詰まっています。

そして「のれん」は、商店や家庭の入り口に掛けられる布で、単なる装飾ではなく、風や光を調整する重要な役割を果たしていました。夏場にのれんは外からの強い日差しを和らげ、風を通しながらもプライバシーを守ることができます。軽やかに風に揺れながら、家の中と外を柔らかく仕切ることで、涼しさや落ち着きを感じさせます。冬には寒風を防ぎつつも、人の出入りを阻害しないという機能も持ち合わせています。

これらの知恵は、自然エネルギーを活用しながら持続可能な住まいを実現するためのヒントになります。環境負荷の低減やサステナブルな暮らしを送るために考えなければならない今、こうした「古き良き住宅の知恵」を見直すことで、現代の住まいに新たな価値を生み出すことができるかもしれません。

 よしむら